極めて安定した女優兼歌手人生

柴咲コウという存在

今でこそ女優として確かな地位を獲得している篠原さんのような少し浮き沈みを経験した芸能人生もそうだが、松田聖子さんのように長年前線から遠のくこともなく、未だに現役で在り続けている人もいる。どちらがいいかと言われたら、やはり後者だろう。何だかんだでいくら芸能人だからといってもデビュー当初から確かな人気を誇示したまま長く活躍していきたいとは思うもの、安定した人生を過ごしたいと同じようなものだ。けれど芸能界でその安定を手に入れるまでには熾烈な競争に勝たなくてはならない、また表舞台に出られるとなったとしてもそれによって人気を獲得できるわけでもない。そうした意味ではたとえ知名度という点で優れていても最終的な地位獲得までに繋がらないというわけだ。

そういったことも含めて考えると『柴咲コウ』さんという女優さんの凄さを改めて実感できる。この方についても筆者はデビュー当時から知っている、それも当時かなりの問題作として知られた『バトルロワイヤル』から知っている。たまたまこの映画が放送されていた時、同じ年代ということもあって視聴していたが、映画の内容としてもそうだが、この作品の中で演じた柴咲さんの役柄もかなり特殊すぎるものだった。

何せ演じたのがダークヒロインとして、同級生たちをドンドン殺害していく役だからだ。それだけでもう、この女優さんって誰なんだろうと関心を駆り立てられたものだ。それからというもの、柴咲さんについては正直ファンという立ち位置も取っていたくらいだ。もちろんソフト程度で、テレビに出たら見るくらいなのでそこまでのめり込んでいたわけではない。

女優としてもそうだが、柴咲さんの凄いところは歌手としても活動しているが、その活動が現在まで継続しているというところがまた凄いのだ。

ラジオの企画から始まった歌手活動

柴咲さんの歌手活動はどうして始まったのかというのは少し気になる、何せいきなり歌手として活動を始めてしまったのでその時は『あれっ迷走しだした??』などと思ってしまったものだ。そこで調べてみると、どうやら始まりは彼女が担当していたラジオ番組の企画から始まったという。そこまでならいい、ただこの企画のタイトルがお世辞にも納得するにはちょっとばかり難しいのではないかと思ってしまうものだった。

『柴咲コウ 夢の印税生活』

露骨という言葉がこれほどまでに似合うものはないが、当初リスナーだった人たちの中には面白半分として、またどうしてこんな下らない企画を検討してしまったのかと、そういった嘆きを放つ人も少なからずいたのではないか。それについては筆者も同じ思いなのだが、その後の活躍がまさかこんなことになるとは思わなかったと、誰もが思ったはずだ。

本当に凄い歌手としての一面

女優さんが歌手活動をすれば当然話題にはなる、だが誰からも聞かれるような名曲が生まれるかと言われると大半がその場限りだったりする。柴咲コウさんについてもそうなるかと思われたが、デビューシングルこそ鳴り物入りだったが、自作に発売されたシングルから快進撃が始まる。

  • 2003年発売・月のしずく(RUI名義):オリコン2位獲得かつ、83万枚のヒット作となる
  • 2004年発売・かたちあるもの:オリコン2位獲得、自作品の中でも歴代2番目に売れた作品

他にも出しているが、こちらの二曲については他の歌手が発売した曲とは一線を画した大ヒット作として知られている。当時流行していた映画作品の主題歌、ドラマの主題歌という宣伝もあったが、柴咲コウさんの代表曲といえば上記の作品だろう。特に月のしずくに関しては多くの人に聞かれているほど、大手レンタルショップにおいては歴代8位の貸出だったとも言われている。

歌手活動はひっそり、でも女優として

その後歌手としても同時進行で活躍をしている柴咲コウさんだが、彼女の芸能人としての経歴を見ると浮き沈みといった時期があまりないというのも評価ポイント。ここまで活躍しているとどちらかに偏ってしまうところだが、女優としても確かな演技力で人気を集め、歌手としてもその存在感を発揮している姿に多くの女性達は憧れを抱いたのではないだろうか。現在も主演作品に恵まれて活躍している女優さんの中では、一番の成功例として挙げられるだろう。